ニューヨーク・サウンド

f0173964_10423348.jpgKASHIF
「Condition Of The Heart」('85/LP)


カシーフに熱を上げていた時期がある。80年代前半のサウンドとして斬新で、まさにカシーフ・サウンドとしか言いようのない音作り。その打ち込み主体の洗練されたニューヨーク・サウンドと、カシーフの鼻にかかったような癖のある歌い方が妙に気に入っていた。
B.T.エクスプレスに在籍していたこともあるようだが、ソロ作品ではその頃を直に感じさせるファンクなどはない。逆にアルバムタイトル曲のA(3)やB(2)”Say The Night”等のスローにおいては正統派ソウルの汚れなき心が感じられ、僕がカシーフを愛して止まない所以がそこにもある。特にA(3)は本作のBEST TRACK。
80年代後半、ニューヨーク・サウンドはニュー・ジャック・スウィング等の新たな時代の流れに淘汰され、僕の中で輝きを失っていく。しかしながら90年代後半にもインディながら新譜をリリースし、そのニューヨーク・サウンドへのこだわりを顕著に示すカシーフに、ほろ苦ささを感じるとともに畏敬の念さえ抱く。

独自のサウンドを創造し続けたカシーフ。同じアリスタに在籍した、ホイットニー・ヒューストンに提供した素晴らしき楽曲など、サウンド・クリエイターとしても再評価される日が来ることを切に願う。
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# by l-jones | 2008-05-21 10:41 | soul review

ミスター・エモーション

f0173964_1041759.jpgBUNNY SIGLER
「Keep Smilin'」('74/LP)


70年代栄光のフィリー・サウンド立て役者の一人、シンガー・ソングライターそしてプロデューサーでもあるバニー・シグラーの、74年ソロ通算3作目。”ミスター・エモーション”の愛称に相応しい、楽曲、歌共に繊細で穏やかさをベースに、時折熱い魂を見え隠れさせる、バニーならではの洒落た仕上りとなっている。

内容はアルバム2作目の”THAT'S HOW LONG I'LL BE LOVING YOU”と重複する楽曲が多数含まれるが、前作と共にその内容は傑作と言うに相応しい、素晴らしい出来だ。
同郷のファンクバンド、インスタント・ファンクがバックを務めるミディアムのA(3)”Keep Smilin”は、バニーならではの軽やかな声とスリリングな曲展開がマッチされ、これぞフィリーと言った出色の出来。本作のBEST TRACKだろう。同系では、バックがMFSBの脂コテコテのベタな音も楽しめるB(1)”Things Are Gonna Get Better”も、はじけるサウンドとBUNNYの力強いテナーとの対比が実に見事だ。もちろんA(5)”I Lied”のようなお得意のダンサーも相変わらず強力。逆にO'JAYSのカヴァーB(5)”Love Train”はぐっとテンポを落とし、ダンサーをスローへと変化させたりと中々面白い。選曲、アレンジを踏まえ、それをじっくりと歌いこむBUNNYの姿にシンガーとしての実力と自信も窺う事が出来るだろう。

またファルセットを交えながら切々と歌い上げるA(2)”Picture Us”を始めとして、スローにおけるBUNNYの演出も涙もの。ドラマティックななバラードA(4)”That's How Long I'll Be Loving You”や、ファルセットと哀しげなギター、そしてラストの語りが琴線を直撃するB(4)”Somebody Free”なんかは何度針を落とした事か…(クサイ(笑))

ミディアムでは夢心地、スローでは上品で気高い香りを楽しめる。満足。
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# by l-jones | 2008-05-21 10:39 | soul review