エディは息子たちに気が付いた

f0173964_16374837.jpgEDDIE LEVERT of THE O'JAYS LIVE
2009年5月8日金曜日(2nd)
@Billboard Live


エディ、サム・クックを歌う。

心待ちにしていたライブ。ぼくの大好きなフィラデルフィア・サウンドを代表するヴォーカル・グループ、オージェイズ。そのグループのリーダーであるエディ・リヴァートがやってきた!
高校時代、繰り返し聴いた。レコードが擦り切れんばかりの勢いで。そう「Love Train」は僕の青春のテーマ曲だ(笑)。

しかもこれまた知人のお陰で2列目ど真ん中の最高のポジションを確保。もう胸は高鳴る一方だ。
そんな期待とは裏腹に開演前の客席は空席が目立ち、エディのテンションを心配してしまう。
なぜ?エディよりもミュージック・チャージが高額なのに、毎回満席のキース・スウェットやベビー・フェイス。彼らよりエディはアーティスト・パワーが下なのか...理解できない。完全に客観性を失っているが。
それでも予定より5分遅れの開演時には、なんとか形になる程度に席は埋まり、胸をなでおろしたが。

開演
パック・ミュージシャンと一緒に入場。まだスポット・ライトは当たっていないが、間違いなくあれはエディの背中だ。
いきなりきた!!「Back Stabbers」だ。いきなりギアはトップに!しかしエディはこの日のセカンド公演に関わらず、声が出ていない…この曲のあとあたりから調子を取り戻したが、如何せん66歳の御大だ。大目に見なくては。
そしてこれはヒットメドレーとなっていて、そのあと「I Love Music」「Love Train」と続いた。この3曲を冒頭に持ってきてこのあとどうなんのよ~!?って期待と不安が同時に押し寄せた。

70年代、ギャンブル&ハフの創り出す骨太で流麗なフィリー・サウンドと、エディとウォルター・ウィリアムスの濃厚なツインヴォーカルを見事にブレンドさせ、一世を風靡したオージェイズ。80年代後半からは息子であるジェラルド・リヴァートの後押しもあり、新しい音にチャレンジし続ける。結果、オージェイズは30年以上決して懐メロとならず、常に第一線で活躍をしてきた。

そのエディが目の前に。歌って欲しい曲は山ほどだ。
しかしその期待は見事に裏切られた。何故にそんなに人の曲を歌うんだ??
ジェラルド絡みの曲を3曲。これは当然。今は亡き天才息子に捧げる曲だ。
ギャンブル&ハフ絡みで「Wake Up Everybody」もよしとしよう。実際素晴らしいアレンジだったし、エディの重厚なヴォーカルも堪能できた。
問題はそれ以外のカヴァー曲。エディにとっての”オールド・スクール”を歌ったようだが、如何せん曲が多すぎる。ロバート・パーマーからBBキングにサム・クック3曲メドレーと…ラストの「Survival」以外、カヴァーで固めたセット後半は、どうひいき目で考えても構成ミスだ。

f0173964_15222788.jpg涙チョチョ切れ珠玉のディープバラード「Let Me Make Love To You」をなぜ歌わないのですか。
なぜ「Lovin' You」、「Cry Together」、「Brandy」を歌わないのですか。
エディのゴスペル唱法ならではの火傷必至のファンク、「Give The People What They Want」
をなぜ歌わないのですか。
なぜ「For The Love Of Money」、「Sing A Happy Song」を歌わないのですか。
30枚近くオリジナル・アルバムをリリースしてるのですよ。
カヴァーならボブ・ディランの「Emotionally Yours」があるじゃないですか。

サム・クックはソウル・ミュージックのパイオニアだ。エディのファンで嫌いな人はいない。
しかしサム・クックではスタンディングにはならず。ラストの「Survival」では総立ち。
エディ御大、みんなの願い、汲んでください。
また待ってます。

SETLIST
 1. [Medley]Back Stabbers~I Love Music~Love Train
 2. Use Ta Be My Girl
 3. Wake Up Everybody [Harold Melvin & The Bluenotes]
 4. When The World's At Peace
 5. Already Missing You [Gerald Levert & Eddie Levert]
 6. Baby Hold On To Me [Gerald Levert & Eddie Levert]
 7. Casanova [Levert]
 8. Addicted To Love [Robert Palmer]
 9. The Thrill Is Gone [B.B.King]
10. [Medley]Twistin' The Night Away [Sam Cook]~Shake [Sam Cook]~Having A Party [Sam Cook]
11. Survival


f0173964_1523973.jpg息子とのデュエット曲を親父がソロで歌っている。オーソドックスなソウル・バラードの曲の良さも相まってジーンときてしまった。椅子に腰掛けて歌うエディも泣いている。あれは汗ではない。涙だ…
その間、僕は息子たちのレコードを胸に抱きながらエディの歌に聞き入った。
エディが歌いながら気が付いた。リヴァートのファースト・アルバム「I GOT HOT」に。レコードを指差す。そして僕の目を見て微笑んだ...
エディ・リヴァートはジェラルド・リヴァートとショーン・リヴァートの父親だ。
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# by l-jones | 2009-05-09 16:12 | live report

山下達郎 生放送で大いに語る

2009年4月28日(火)夜11時~
NHK-FM
「大貫妙子~懐かしい未来~」


最近、シュガー・ベイブづいている。
知人から借りた「達郎SINGSシュガー・ベイブ」や、新譜「TATSURO from NIAGARA」。最近のヘビーローテーションだ。
そして極めつけが大貫さんの新番組NHK-FM「懐かしい未来」。その記念すべき第一回目のゲストが山下達郎氏だった。

ゲストでもあり、生放送でもありで、サンソンとはまた違った達郎氏に期待。
シュガー・ベイブ時代の思い出から、現在のツアーに関する話や環境問題に関わる話まで、期待通りの充実した60分だった。しかしよくしゃべりますね...たっつあんは。自分でも言ってましたが、ひとりでしゃべってます(笑)

「懐かしい未来」、未来に懐かしい。未来に取り戻したいものは何か。これが番組のテーマ。
その中での話。こうした社会的メッセージを達郎氏が発信するのは珍しい。

報道番組のテーマ曲「ミューズ」(発売は未定)を書き下ろしたことに関して。

「自分のコアなファンは40代半ばの男性が多い。その世代の人たちが今の不況のあおりを一番受けている。
アメリカでは景気回復の兆しが見えた等と言っているが、まだ当分は続くだろう。逆に中小零細企業への圧迫はさらに強くなるのでは。
ツアーを回って、その切迫感を痛感した。
その為今回のツアーでは少しでも力付ける歌を歌うしかないなと。よってツアーのセットの根本的なポリシーは明るい歌。人生は前へ行くんだ。頑張っていこうと。ネガティブな曲は1曲もない。

また人間の英知を否定的にとらえる空気が続いている。
安定した物質で、副作用がないとうたわれたフロン。それが結果的にオゾンを破壊する。であればどうするのか、それを考えていくのが人間のジレンマ、宿命だ。そうした発想を作り出せるのが人間という動物。自分は人間の英知をポジティブに考えている。
悪いことが蓄積される分、良いことも蓄積される。そしていつか、問題が少しづづ解決され、世界も良くなると信じる。

個人的に、政治のレベルで発言したり行動したりするのは難しい問題だが、雑ぱくな言い方をすれば、そんな考えをもって「ミューズ」を作った。」(大意)

天文学好きな達郎氏ならではの解釈であって、言葉に力がある。
「ミューズ」はネガティブな報道ばかりの昨今に一石を投じた曲。早く発売してください。

大貫さんも自分の掲げたテーマに対して、ここまで回答してもらえれば満足でしょう。

f0173964_0581356.jpgそうした社会的メッセージを投げかけた後に達郎氏がセレクトしたのは
THE RASCALS
「A Ray Of Hope」

ラスカルズは達郎氏のアイドルであり、中でもこの曲はプライベート・アンセムとのこと。
自身のライブでも「蒼氓」の間奏に織り込んでいる曲(ほかはインプレッションズ、ボブ・ディラン、岡林信康のやはりメッセージ・ソング)。
白人とは思えない黒さの曲だ。


自分の音楽に対しての話では、不変性を持った曲を作りたいと考え、同じサウンドをどれだけ固持できるか、変えないアバンギャルドなものを目指しているといった、あらためて達郎サウンドを確認出来る場面も。
そのスタイルをいま話をしている大貫さんとツイン・ヴォーカルだったシュガー・ベイブでスタートさせたかと思うと、不思議な感じがする。
でもきっとこの二人の出会いも必然だったんだろうな。
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# by l-jones | 2009-05-07 01:24 | radio

一芸を極めるは多芸に通ず

f0173964_176315.jpg山下達郎/Sugar Babe
「TATSURO from NIAGARA」('08・3・21/CD)


「ナイアガラレーベル所属時代の歌唱楽曲、および作曲楽曲を集めた待望の企画盤。
シュガー・ベイブ、『ナイアガラ・トライアングルVol.1』の中から抜粋の他、秘蔵音源、未発表音源を加えて3月21日に発売されました。
ジャケットも新装し、30年の年月を経てナイアガラ公認カタログとして初登場。
プロデュース、リマスタリングは大瀧詠一氏によるもの。」(山下達郎オフィシャル・HPより)

「一芸は多芸に通ず」
今回のCD化のプロデューサー、エンジニアでもあり、達郎氏のナイアガラ時代の全作品に関わった大滝詠一氏。
その大滝氏が、ライナーノーツでこの諺は彼のためにあると語っている。
達郎氏とは若かりし頃から熟知の間柄。うん、山下達郎の音楽人生は全てその言葉に集約されるでしょう。

しかしながら、本作の初CD化楽曲は「幸せにさよなら (山下ヴォーカル・バージョン) 」のみ。
そのあたりは、無数の達郎マニアを心から満足させるまでには至っていないか。

Track List
 1. DOWN TOWN
 2. SHOW
 3. パレード
 4. 遅すぎた別れ
 5. 今日はなんだか
 6. ドリーミング・デイ
 7. すてきなメロディー (幻カズー入り)
 8. フライング・キッド
 9. 雨は手のひらにいっぱい
10. 過ぎ去りし日々“60’s Dream”
11. 幸せにさよなら (山下ヴォーカル・バージョン) (BONUS TRACKS)
12. ドリーミング・デイ (シングル・モノ・バージョン) (MONO) (BONUS TRACKS)
13. SUGAR (オリジナル・ミックス) (BONUS TRACKS)
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# by l-jones | 2009-05-01 23:59 | soul review

伝説

先日、知人より2枚のCDを借りた。
市場で販売されているものではなく、サンデー・ソングブックでオンエアした音源を個人的にCD化したらしい。
達郎氏のコアなファンらしいこだわりぬいたCDだ。
パッケージまでオリジナル。持つべきは達郎仲間だな。ありがとう…

「TATSURO YAMASHITA sings SUGAR BABE」f0173964_16132647.jpg

これは1975年に発売されたシュガー・ベイブ唯一のアルバム「SONGS」が、1994年に達郎氏の監修のもとデジタル・リマスタリングされ再発売され、その記念に達郎氏が「Sings Sugar Babe」と題し行ったライブを収録したもの。
どれも素晴らしいパフォーマンスで舌を巻くが、やっぱり12かな。ライブアレンジの痺れるカッティングギター、まさにこれが達郎サウンドだ!
しかし、たっつぁんと大貫さんが一緒に歌う姿なんてのは、もう見られないんだろうな…

SETLIST
 1 Show
 2 指切り
 3 Windy Lady
 4 ドリーミング・デイ
 5 いつも通り
 6 すてきなメロディー
 7 二人の夏
 8 CM 三ツ矢サイダー '76
 9 雨は手のひらにいっぱい
10 こぬか雨
11 Sugar
12 今日はなんだか
13 Down Town ~ Sugar
14 パレード
15 ココナツ ホリデイ
16 My Sugar Babe
17 That's My Desire

MUSICIANS
山下達郎(g,vo),島村英二(ds),伊藤広規(b),佐橋佳幸(g),難波弘之(key),重実徹(key),土岐英史(sax),楠瀬誠志郎(cho),佐々木久美(cho),高尾"CANDEE"のぞみ(cho),大貫妙子(b)

もう一枚は

「伝説Live 1998/2/26 福岡サンパレス・ホール」

伝説ライブとは1998/2/26~3/1まで福岡サンパレスで行なわれたイベントライブ。
九州朝日放送(KBC)で約10年間、深夜ラジオ番組「歌え若者」の制作を担当し、多くの若いミュージシャンを見出した岸川均氏。
岸川氏は番組にバンドを取り上げるのみならず、新しいバンドの発掘やアドバイスを盛んに行ない、多くのミュージシャンを売り出すことに尽力した。
こうした活動から彼の日本のフォーク・ロック界への貢献度は計り知れない。
その岸川氏が還暦でKBCを退職することになり、その定年退職を惜しむミュージシャン達が還暦祝いとして企画したのがこのライブである。
したがって福岡のみのプレミアライブだ。

SETLIST
1 Sparkle
2 Daydream
3 ラスト ステップ
4 夏の陽
5 Funky Flushin' ~ 硝子の少年 ~ Bomber ~ Funky Flushin'

MUSICIANS
山下達郎(g,vo),青山純(ds),伊藤広規(b),難波弘之(key),重実徹(key),佐橋佳幸(g),古村敏比古(sax),山川恵津子(cho),佐々木久美(cho),佐藤竹善(cho)

このあとアンコールではこの日の出演者、浜田省吾とスターダスト・レビューとジョイントで、
「Be My Baby」 と 「Stand By Me」 を歌った。YouTubeでサンソンを発見したので、リンクしときます。
うーむ、スタレビの根本さんも良い声してるな~。



「Stand By Me」はこちら

ちなみにこの企画ライブは4日間。出演者は...
2/26 山下達郎、浜田省吾、スターダスト・レビュー
2/27 甲斐バンド
2/28 海援隊、南こうせつ、伊勢正三、イルカ、坂崎幸之助、さだまさし、チューリップ
3/1  RUBY、広石武彦、水戸華之介、花田裕元(ロックンロールジプシー)、ARB、シーナ&ロケッツ、サンハウス

岸川氏は2006年11月17日に他界(享年69)。
その週末(11/26)のサンデー・ソングブックは予定を変更し「元KBC九州朝日放送ディレクター 岸川均氏追悼特集」を組んだ。

その時の音もYouTubeに...

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# by l-jones | 2009-04-29 15:02 | soul review

ぬらすソウル

アフリカン&ソウルバー「Bao Bab」

新宿3丁目の路地にひっそりとたたずむバー「バオバブ」。
アフリカ料理やソウルフード等を中心に色々な創作料理を楽しめる。そして音楽はSOUL中心にレコードが回る。

二度目の訪店。今回は無二のタワー・オブ・パワー好き御大が主催のファンキー飲み放題コース!
御大とマスターはタワーのライブで知り合い、以来定期的にこの店で親交を深めている様子。
しかしこの御大は一体何人のタワー繋がりの友人がいるんだ?自分もその一人だが、その顔の広さに毎回驚かされる。だてに毎年タワーの来日公演を全公演制覇してないね。何十万もかけて…(ホントスゴイ)

この日はやっぱりタワーやウォー、アース等ファンク系を中心に回してくれている。
メタル好きが一人いたが、僕を含めた他の5人はソウル、ファンク好き。みんな盛り上がってましたね~。

f0173964_2159257.jpgその日のメンバーで紅一点の女性が1曲リクエスト。
アイズレー・ブラザーズ「Between The Sheets」
いや~Hな曲だ。タマニキクとさらにイイ。彼女、「ぬれる~!」とか言ってるし(笑&汗・・・)
こうしたエロチックな曲は黒人ならではの色気が漂い、まさにソウル・ミュージックの魅力であり原点だ。
その後にテディ・ペンダーグラスの「LOVE T.K.O」なんかもかかっちゃって、ファンク一辺倒だった数分前がウソのよう、一転してもうFOR LOVERS ONLYって雰囲気だ!(うちら以外は)。

偶然か、この日は女性一人客が数人。そしてこの選曲。これがマスターの攻め手か…そんな妄想もソウルバーならではだ。
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# by l-jones | 2009-04-11 12:53 | soul bar

重鎮

SOUL BAR 「ZAPP」

久しぶりに池袋「ザップ」へ。2軒目だったので22時くらいにおじゃました。
相変わらずの盛況ぶり。ここはいつ行っても人入ってるな~。

その日はレイクサイドやスレイブ、メイズ等80年代のヴォーカル・インストグループ中心。曲がかかるたび「きたー!」とか言って騒いでしまった。そして「この曲ってさー、、、」と、自分の想い出や思い入れの話がはじまっちゃう。みんな酔ってるから余計に話は長くなるんだけど、会社や仕事のグチが話題の時よりも楽しいね。至福の時だ。

f0173964_1739193.jpgマスターもエディ・リヴァートのライブには行くらしい。やっぱりエディは見ないとね、とのこと。
そう、エディはソウル界の重鎮だ。ソウル好きにエディが嫌いな人はまずいないだろう。
そして少しして、聴き慣れたどす黒いバリトン・ヴォイスが。オージェイズだ!
87年の"Lovin' You"
必ずライブでも熱唱するでしょう。「ザップ」で聴いても鳥肌モノ。生で聴いたら……嗚呼…楽しみ楽しみ。

この日もほぼ満席だったが、不思議なのが曲に反応してる客が皆無。「ザップ」はレコードの量や質、店員さんの造詣の深さからして、かなり本格派のソウルバーだと思う。ソウルバー界の重鎮だ(笑)。そういった店にはコテコテのソウルファンが集まるのが通例だが、ここにはソウル好き以外の一般客も付いているのか。単なるバーとしても魅力的なのか…
まあそうであってもおかしくないか。曲は知らなくとも、ここには上手い酒と料理と心地良い空間があるのだから。

そういえば、「シュガー・シャック」が川崎で復活するらしい。未曾有の不況の真っ只中、久々に良いニュースを聞いた。定額給付金で行こう!!
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# by l-jones | 2009-04-04 23:22 | soul bar

願い

山下達郎 LIVE  ”TATSURO YAMASHITA Performance 2008-2009”

f0173964_23351024.jpgメンバー
山下達郎 (ヴォーカル、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
小笠原拓海 (ドラム)
土岐英史 (サックス)
国分友里恵 (コーラス)
佐々木久美 (コーラス)
三谷泰弘 (コーラス)

まったくぶれない。

山下達郎は何も変わっていない。継続しただけだ。アナログからデジタルへ、質より量へ、より便利で身近なものが主流となった音楽の世界。それでも山下達郎は不変だ。
英語圏のロックやリズム&ブルースを根底とし、独自のポップミュージックを創造する。デビュー当初はロックンロールを日本語で?と疑問視され、自分の音楽が一般受けされるのかは、全くわからない。そんな時代も長かった。
それでも山下達郎は30年以上、全く軸がぶれていないのだ…

1980年に達郎氏の名を一躍有名にした珠玉の名曲”RIDE ON TIME”。それが2003年にキムタク主演のドラマの主題歌に起用された。当時そのドラマでこの曲を知った友人が、カラオケで熱唱していた。
その彼に「これって20年以上前の曲なんだよね。」と言うと、
「そうなの!?知らなかった!」と、目を丸くし驚いていたっけ。
友人にとって山下達郎といえば”クリスマス・イブ”。若い世代で、達郎氏に興味がなければ”RIDE ON TIME”を知る由もない。
しかし驚くのは、その事実を知っても信じられないほど曲が新鮮であることだった。

f0173964_018298.jpg 2008年12月5日 金曜日 @厚木市文化会館

6年ぶりの全国ツアー。運良く初日の厚木に参戦。
1400人キャパの2階席最前列といったナイスボジションで鑑賞。
やっぱりいいな~。達郎氏の55歳とは思えぬ強靭な歌力と、リズムセクションの一糸乱れぬソリッドな音。素晴らしい。やはり他の追随を許さない、日本最強だ。
hmv.co.jpが独断と偏見で選ぶの"日本のシンガーTOP30”で堂々の1位を獲得するのもうなずける。

たとえ初日でも、歌や演奏は完璧。だが、MCだけはあんちょこを何度も見て確認(歌詞は今でもプロンプター等を使っていないが)。その仕種が実に微笑ましく、初日に来れた喜びをかみしめる瞬間だった。

途中達郎氏から小さなお願いがあり。ツアー終了まではこうしたブログ等でセットリストを公開しないでほしいとのこと。なので具体的な曲に関してのコメントは避けます。そんなこと本当に小さなお願いだ。だってそれでも本人は、公演終了後にロビーにセットリストを貼り出すサービスをやめていないのだから。

達郎氏は6年前がリハビリツアーだったが、今回は一から出直しツアーと銘打っていた。
「ここ数年、自分の音楽を取り巻く環境が激変し、七転八倒した。やっと最近、音楽的にも壁を乗り越え、人的にも恵まれ、軌道に乗ってきた。そんな中舞い込んだのが伝統ある大阪フェスティバルホール取り壊しのニュース。それならば、最後にもう一度大阪フェスで歌いたい。これが今回の6年ぶり、しかも新譜が無いツアーのきっかけです。」(大意)

達郎氏はライブ会場にも強いこだわりを持っていて、自分の納得した音が出せるホールしか選ばない。だから達郎氏にとっては武道館やドームでのライブは言語道断なのだ。逆に良いホールには強い愛着を持っていて、今回の大阪フェスの取り壊しには断固反対を訴えていた。ホールはその舞台を踏んだミュージシャンや芸人達の生き血を吸っている。ホールを取り巻く環境(同グループの隣接するホテル、商業施設やゼネコン絡み)の為に取り壊すのは許せないと。大阪フェス以外でも、中野サンプラザや北海道厚生年金会館なども多々問題を抱えているらしい。
とにかく個人的には達郎氏のライブ会場を減らすのは止めてもらいたい。大きなお願いだ。

3時間。前回のツアーより若干短い気もしたが、それでも3時間ぶっ続けだ。大満足。

何度見ても飽きない。何度聴いても飽きない。達郎氏はライブ映像をパッケージ化しない。ラストのあの曲をアカペラで聞けるのはライブだけなんだ。極上のライブ・パフォーマンス。
フィナーレで、一人ゆっくりと会場全体を見渡し、手を合わせ感謝の意を表す達郎氏を見ていると、必ずまた会いたいと思ってしまうのだ。


f0173964_018475.jpg2009年 3月1日 日曜日 @NHKホール

「あれ?なんか違う。声出てないな…」
1曲目で感じた。6回目の山下達郎ライブでの初の出来事。NHKホール2階末席だからか?いや、違う。
「エヘン虫がでてきた」と達郎氏本人も調子が悪いことを告白した。
しかしさすがはベテラン職人、徐々に調子を取り戻し、いつも通りの透き通るようなテナー~ファルセットを聞かせてくれた。

その後は達郎氏もリズムセクションもコーラス隊も素晴らしいパフォーマンスを披露。MC含め台本通りの流れで進んでいく。何かうまく纏まり過ぎ?と、感じた矢先…
「ちくしょーちくしょー、30本目で初めて間違えた!」と、曲を中断。
お約束の一人アカペラコーナーの最初の曲でのハプニング!歌詞を間違えたらしい。まったく気が付かなかったが、本人は納得いかなかったらしく、中断。お詫びに朝青龍のものまねを披露!(笑)
いやーいいもの見せていただきました。

今回のツアーからメンバーに加わった二人(ドラムの若干24歳!の小笠原氏、セカンド・キーボードの柴田氏)含め、バック・ミュージシャンも相変わらずいかしてる。特に小笠原氏は初日より更に上手くなったんじゃねーか、と思わせるほど冴えていた。やっぱり若いっていいね。達郎氏からお墨付きを頂戴したドラマー。これからも音楽に対し真摯な姿勢で成長してくださいな。余計なお願いです。

間奏部分など、若干の変化はあったが、基本的なセットは初日と変わりなく進行。
そしてアンコール。再度ステージに上がった達郎氏は、逆サイドから退場・入場していた難波氏(キーボード)と三谷氏(コーラス)に何か耳打ちした。
そこで思った。
「これ、最初の曲をもう一回やるぞ」と…

予定通りのアンコールが終了したとき、「おまけ」と一言、3時間前に聞いた達郎氏のギターフレーズが...
やっぱり!エヘン虫に邪魔されて納得できなかった最初の曲をもう一度歌ったのだ!
納得しない曲はやり直すと噂では聞いたことがあったが、まさか目の当たりに出来るなんて…
そう、きっとさっきの耳打ちは、難波氏達にあの曲を最後もう一回やってと、伝えていたのだろう。
その一言で完璧に演じるリズム隊にも脱帽だ。逆にコーラスの佐々木さんなんてもうノリノリだ。
そしてなんと!さらにもう1曲おまけで、予定外の曲を自身のギター1本で。しかも僕の大好きなあの曲…
嗚呼、僕の座席がソファーだったら間違いなくむせび泣いていたでしょう(笑)。

厚木の時が55歳。今回は56歳。3時間半ぶっ通し。どうだ、この人が竹内まりやさんが惚れた男だ。
最後に達郎氏はこう締めくくりました。
「未曽有の不況の今日、お客さんの中でもなにかしらの事情をお持ちの方もいるでしょう。ただピンチは大きなチャンスに変えられます。
音楽で世の中を変えられると思ったことは一度もありません。ただ、音楽で人の心を慰め、癒し、励ますことは出来るのでは、と思っています。そんな気分の時はまたライブにいらしてください。」(大意)

大好きな黒人アーティストのライブをコットンクラブの最前席で見るよりも、山下達郎のライブは慰められるし、励まされる。
毎年僕の心を癒してください。切実なお願いです。
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# by l-jones | 2009-03-09 00:58 | live report

エヴァーグリーン

CURTIS MAYFIELD 3連発
(祝! ++ 「3/25発売 カーティス・メイフィールド SHM-CD 紙ジャケット・コレクション 全9タイトル」++)

f0173964_055597.jpgSUPER FLY(1972)
A1.LITTLE CHILD RUNNIN WILD 2.PUSHERMAN 3.FREDDIE'S DEAD 4.JUNKIE CHASE
B1.GIVE ME YOUR LOVE 2.EDDIE YOU SHOULD KNOW BETTER 3.NO THING ON ME 4.THINK 5.SUPERFLY

A3、B5の大ヒットを生んだ、カーティス最大のヒット作。サントラ盤であるため、インストもあるがその全てひっくるめ、カッコイイの一言。誰だか知らないけどフレディが死んだことを教えてくれたA3をはじめ、A2、B1そしてラストのB5と、今聴いても頭の先から指先まで痺れる。また、B2、B3といったミディアム~スローにおいても、脂の乗りきった紛れもない絶頂期のカーティスに会うことが出来る。
ソウル・ミュージック界に燦燦と輝く名盤。

f0173964_0562040.jpgTHERE'S NO PLACE LIKE AMERICA TODAY(1975)
A1.BILLY JACK 2.WHEN SEASONS CHANGE 3.SO IN LOVE
B1.JESUS 2.BLUE MONDAY PEOPLE 3.HARD TIMES 4.LOVE TO PEOPLE

カーティスのアルバムの中で一番聴いたのがこれ。一人の黒人として社会的なメッセージを歌い上げた、より内省的で暗く重い内容だが、その奥行きの深さと、神秘的で円熟味を帯びるメロディーは何度聴いても心奪われる(ほんと大袈裟じゃないんだなこれが)。珠玉のスローバラードA3、どこまでも暖かく優しく包み込むゴスペルB1、天才ファルセット・シンガー面目躍如のミディアムB2と、どこをとってもそこには唯一無二のカーティスがいる。
現代のアメリカが存在する一つの理由がここにはある。

f0173964_0573050.jpgNEVER SAY YOU CAN'T SURVIVE(1977)
A1.SHOW ME LOVE 2.JUST WANT TO BE WITH YOU 3.WHEN WE'RE ALONE 4.NEVER SAY YOU CAN'T SURVIVE
B1.I'M GONNA WIN YOUR LOVE 2.ALL NIGHT LONG 3.WHEN YOU USED TO BE MINE 4.SPARKLE

あまり話題に上ることもないが、大好きなアルバム。70年のソロ第一弾『CURTIS』から75年の『THERE'S NO PLACE LIKE AMERICA TODAY』までの9枚のアルバムに人気が集中しているが、ディスコの波に逆らうことなしにカーティス流のポップ・ミュージックの消化を図った70年代後半から80年代の作品も僕は素直に感動できる。このアルバムでは以前に見せたカーティスの緊迫した雰囲気や、切迫感漂うファルセットは味わうことは出来ないが、逆にカーティスの暖かさ、温もり、愛くるしさを前面に押し出すことで、それまでのカーティスを一過性のものにしなかったように感じる。
このポップ作品集にも間違いなく、カーティスのどす黒きダンディズムは宿っている。
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# by l-jones | 2009-02-24 01:24 | soul review

アリ・オリでサム・ディーズ

f0173964_11173650.jpgSOUL BAR 「Ali-Ollie!!!!」

久しぶりに恵比寿のソウルバー「アリオリ」を訪問。平日なのにかなりの賑わい。気が付けば満席だ。
本当にテンプスのアリ・オリが来店しちゃうんだからスゴイ。カウンターの壁面には、「WELCOME TO MY CLUB Ali-Ollie WOODSON」の大きなサイン。

アリ・オリに会いに来たんだけど、今日はどこにいるのか、とマスターに聞くと、「今日は厨房。」だって。なんだかマスターも楽しそうだ。

f0173964_11384339.jpgそんな良い雰囲気の中、サム・ディーズの「TAG, TAG」が流れる。その次はウインディ・シティの「GOOD GUYS DON'T ALWAYS WIN」とサム曲が続いた。
そういえば、まだアリオリをオープンさせる前、マスターと横浜のソウルバー「シュガー・シャック」で飲んだことがある。そこで一番好きなアーティストは誰だ?って話になって、サム・ディーズって答えたことがあったな。覚えてたのね。ありがとう。
そしてこれが惹き付けるソウルバーの秘訣なんろうな。また来ます。
ちなみにマスターの一番好きなアーティストは、迷いなく「アリ・オリ」でした。

+++++++++++

SAM DEES SONGBOOK
サム・ディーズが他のアーティストに提供した楽曲一覧。尚,ライター名のないものは本人一人で書いた曲。

曲名(ライター名) / アーティスト
AFTER LOVE HAS LOST IT'S SHINE / RAGINA BELLE (87)
AFTER LOVING YOU / ROCKIE ROBBENS
ALL IN THE NAME OF LOVE / ATLANTIC STARR(87)
AM I DREAMING / ATRANTIC STARR(80),OL SKOOL(98)
CAN I HOLD YOU TO IT (Dees-Lewis-Moon) / LORRAINE JOHNSON(72)
A CASE OF THE BOOGIE / BRAINSTORM(79),SOLARIS(80)
CHAINED & BOUND / ROZETTA JOHNSON(72)
CHANGES / CLARENCE CARTER(70)
CLAIN JUMPING (Dees-Brandon) / JOHN EDWARDS(73)
CRY TO ME (Dees-Camon) / LOLEATTA HOLLOWAY(75)
DROP MY HEART OFF AT THE DOOR (Dees-Knight) / BARBARA HALL(75),BEN E. KING(75)
EARLY MORNING LOVE / ROZETTA JOHNSON(75)
EVERYBODY DON'T GET A SECOND CHANCE / JOHN EDWARDS(96),EXTRA-EXTRA BEN E. KING(75)
FOOL OR YOUR MAN / WINDY CITY(77)
FOOLS LOVE / C.L.BLAST(72)
FOR THE SAKE OF THE MEMORIES / CHARLES JACKSON(79),ROCKIE ROBBINS
GAMES,GAMES / TAVARES(78)
GIRL OVERBOARD (Knight-Dees) / DOROTHY MOORE(78)
GLITTER / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(85)
GOOD GUYS DON'T ALWAYS WIN / WINDY CITY(75)
GREATEST LOVE AFFAIR / JEFRRY OSBORNE(82)
HANG TOUGH / ROKIE ROBBINS
HAPPINESS IS WHERE YOU FIND IT (Dees-Crutcher-Knight) / BEN E. KING(75)
HEVEN SENT / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(83)
H.E.L.P.M.E.M.Y.L.O.R.D. / LOLEATTA HOLLOWAY(75)
HOLDING THE LOSING HAND / RAZETTA JOHNSON(71)
HOME WRECKERS (Dees-Camon-Davis) / TYRONE DAVIS(75)
HOW CAN YOU LOSE SOMETHING YOU NEVER HAD (Dees-Camon) / RAZETTA JOHNSON(72)
I AM FREE OF YOUR LOVE (C.Yelder-Dees) / BILL BRANDON(72)
I BETCHA DIDN'T KNOW THAT (Knight-Dees) / FREDERICK KNIGHT(75),BEN E. KING(76),K.C. & THE SUNSHINE BAND(79)
POWER(82),KEISA BROWN(85),DOROTHY MOORE(92)
I CAN FEEL MY LOVE COMIN' DOWN / RAZETTA JOHNSON(71)
I CAN SAY NO / PEGGY SCOTT & JO JO BENSON(71)
I KNOW WHERE YOU'RE COMING FROM / LOLEATTA HOLLOWAY(75)
I LIKE TO PARTY / ALPACE PHASE Ⅲ(74)
I THINK I'D DO IT / Z.Z.HILL(70)
I'LL BE YOUR PUPPET (Dees-Camon-Knight) / JOHN EDWARDS(73)
IF SHE DON'T WANT YOU LOVING / ARETHA FRANKLIN(82)
I'M A BILIEVER NOW / BILL BRANDON(72)
I'M GONNA HATE MYSELF IN THE MORNING (Knight-Dees-Crutcher) / TED TAYLOR(76),FIESTAS(77),OTIS CLAY(82)
I'M SICK AND TIRED (Graham-Dees) / LARRY GRAHAM(83)
I'VE GOT TO COME IN / JEAN BATTLE(71)
IT'S BEEN SO NICE (Dees-Knight) / RAZETTA JOHNSON(75)
IT'S GONNA TAKE ALL OUR LOVE / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(87)
IT'S GOT TO BE THE REAL THINGTHIS TIME / JOHN EDWARDS(96)
IT'S RAINING ON MY SIDE OF THE BED (Knight-Dees) / DOROTHY MOORE(92)
JUST AS SOON AS THE FEELING'S OVER / MARGIE JOSEPH
JUST THE LONELY TALKING AGAIN / MANHATTANS(83),WHITNEY HOUSTON(87)
KEEP YOUR PANTS ON / DENISE LASALLE(84)
LEFTOVER LOVE / C.L.BLAST(72)
LET ME BE YOUR FULL TIME GROOVER (Lewis-Dees) / BILL BRANDON AND LORRAINE JOHNSON(73/4?)
LET ME HEAL THE BRUISES / TAVARES(78)
LET'S MAKE OUR NEW LOVE SOMETHING SPESIAL / BILL BRANDON AND LORRAINE JOHNSON(73/4?)
LIFE (Knight-Dees-Knight) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(85)
LOVE ALL THE HURT AWAY / ARETHA FRANKLIN & GEORGE BENSON(81)
LOVE MAKING / JEAN BATTLE(70)
LOVER FOR LIFE / WHITNEY HOUSTON(90)
MAKE BELIEVE LOVERS (Knight-Dees-Camon-Ward) / ANITA WARD(78)
MORE MORE MORE / ATLANTIC STARR(83)
MOTHER OF SHAME (Dees-Yelder) / LOLEATTA HOLLOWAY(73)
MY LOVE / TAVARES(78)
MY TIME (Knight-Dees-Knight) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(85)
MY WORLD / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(79),POWER(82)
NEVER CHANGE (Abrams-Dees) / COLONEL ABRAMS(86)
NO DANGER OF HEARTACHE AHEAD / BILL BRANDON(76),BEN E. KING(76)
OH LA DE DA (Dees-Knight) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(83)
ONE IN A MILLION YOU / LARRY GRAHAM(80),L.V.JOHNSON(89),FREDDY G.(97)
PERSONAL WOMAN / RAZETTA JOHNSON(72)
PLAY TIME (Dees-DuBois) / CONTROLLERS(87)
RIGHT IN THE MIDDLE OF FALLING IN LOVE / SOLARIS(80),BETTY LAVETTE(82),SANDRA HALL(95)
RUN TO ME (Dees-Eckley) / SIDNEY JOE QUALLS(74)
SAVE THE OVERTIME FOR ME (Smith-Gallo-Knight-Knight-Dees) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(83)
SECONDS (OF YOUR LOVE) (Dees-Knight) / SALSOUL ORCHESTRA,WILSON PICKTT & JACKIE MOORE(82),GLADYS KNIGHT & THE PIPS(83),JOHNNIE TAYLOR(84)
SEND FOR ME (Dees-Kersey) / ATLANTIC STARR(80)
THE SHOW MUST GO ON / LOLEATTA HOLLOWAY(75)
SHUT YOUR MOUTH / SIDNEY JOE QUALLS(74)
SIT DOWN ON YOUR LOVE (Knight-Nix-Dees) / FREDERIC KNIGHT(78)
SNEAKERS ON A ROOSTER / BO DIDDLEY
SO TIED UP (Dees-Brandon) / WILLIE CLAYTON(84)
SPESIAL OCCASION / BILL BRANDON(77),DOROTHY MOORE(78),MILLE JACKSON(82)
SPOILED BY YOUR LOVE (Knight-Dees) / ANITA WARD(78)
STAND UP AND SHOUT ABOUT LOVE (Graham-Graham-Dees) / LARRY GRAHAM(80)
STANDING IN THE WINGS OF HEARTACHE (Dees-Moon) / BEN E. KING(76),TED TAYLOR(76)
STOP THIS MERRY-GO-ROUND (Moon-Gardner-Dees) / BLACK HAZE EXPRESS,BILL BRANDON(72),JOHN EDWARDS(73)
STRAIGHT UP (Knight-Dees-Knight) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(85)
STRIVIN' (Knight-Dees-Knight) / GLADYS KNIGHT & THE PIPS(85)
SWEET SPLENDER / ANITA WARD(78)
TAG, TAG / BILL BRANDON(76)
THERE'S SOMETHING ABOUT YOU (Graham-Dees) / LARRY GRAHAM(80)
TIME (Dees-Knight) / JOHN EDWARDS(96)
TOWER OF STRENGTH (Dees-Crutcher-Knight) / BEN E. KING(76),THE MIGHTY POPE(77)
UNSATISFIDE WOMAN / JEAN BATTLE(71)
VANISHING LOVE / JOHN EDWARDS(74),CHI-LITES(76)
WE ALWAYS COME BACK STRONG / JOHN EDWARDS(96)
WHAT A WAY TO PUT IT / TEMPTATIONS(83),WILLIE CLAYTON(84)
WHEN MY LOVE STARTS COMING DOWN ON ME (Dees-Kersey) / BEAU WILIAMS(83)
WHEN A WOMAN LOVES A MAN / JEAN BATTLE(70)
WHERE DID WE GO WRONG (Dees-Osborne) / LTD(80)
WHO ARE YOU GONNA LOVE / RAZETTA JOHNSON(71)
WIN OR LOSE / WINDY CITY(77)
THE WORLD DON'T OWE YOU NOTHING (Knight-Dees) / LOLETTA HOLLOWAY
WORN OUT BROKEN HEART (Dees-Drayton) / LOLETTA HOLLOWAY(76)
WRAPPED UP IN A GOOD WOMAN'S LOVE / TED TAYLOR(76)
YOU BROUGHT IT ON YOURSELF / BARBARA HALL(75)
YOUR LOVE FINALLY RAN OUT / ATLANTIC STARR(82)
(YOUR LOVE IS LIKE A) BOOMERANG (Knight-Dees) / COREY BLAKE(75),THE DYNAMIC SOUL MACHINE(75)
(YOU'RE MY) APHRODISLAC (Lambert-Dees-Crowley) / DENNIS EDWARDS(84)
YOU'VE BEEN / THE BAR-KEYS(79),LARRY GRAHAM(83),BEAU WILLIAMS(83)

一部除きブラック・ミュージック・リヴュー誌1995年9月号増刊号
ブルース&ソウル・レコーズ誌(株式会社ブルース・インターアクションズ発行)より引用

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# by l-jones | 2009-02-14 11:49 | soul bar

雪と岩と氷の世界

f0173964_1292840.jpgBOOK
沢木耕太郎 「凍」 ('05)
山野井泰史 「垂直の記憶」 ('04)
九里徳泰 「冒険家になるには」('06)
山と渓谷 「山野井泰史 垂直の記憶」('06)
後藤正治 「不屈者」('05)
DVD
「白夜の大岩壁に挑む~クライマー山野井夫妻~」 ('08)


理解できなかった。なぜ登るのか。

沢木耕太郎著「凍」を読み終えたとき、ふと思い出した。
去年('08)の夏頃に登山家がジョギング中にクマに襲われたな…まさか…と思ってネットで調べてみれば、そこには登山家 山野井泰史さんがクマに襲われ右腕を20針、眉間から鼻にかけて70針ほど縫う重傷を負った記事がたくさん…
なぜそれを覚えていたのかというと、事件の内容も壮絶だが、山野井氏の両親のインタビューが非常に印象的だったんだ。安堵の表情を浮かべながら、
「無事で良かった。が、ひと月、ふた月したらまた山を登りだすのでは。」と…

・・・・・

私は登山やクライミング等に全く興味ない。当然山野井氏のことなど知る由もなかったが、ふとしたきっかけで読みだしたこの本になぜかのめり込んだ。
「凍」は、山野井氏が2002年37歳でヒマラヤの難峰ギャチュン・カンに妻と二人で挑んだノンフィクション。
その類いない登攀歴から「日本最強のクライマー」、その危険を顧みない登攀スタイルから「天国に一番近い男」と呼ばれる山野井氏。
そんな彼がギャチュン・カン単独登頂後の下降中、絶体絶命の危機に遭遇する。
幾度となく雪崩に襲われ、危険な場所での究極のビバークを何度も強いられ、妻妙子さんが雪崩に飛ばされ50m以上滑落し氷壁の下で宙づりとなり、雪崩直撃のせいか眼球が凍ったためか失明状態となり、支点作りのため凍傷覚悟で素手で氷以上に冷たい岩をまさぐり…
その困難は枚挙にいとまがない。

彼らは生きるためにすべての精力を使い果たす。そして最後は幻覚を見ながらも奇跡的に生還する。

その代償として山野井氏は手と足の指計10本を切断。妙子さんは既に第二関節からなくなっている両手の指を、全て付け根から切り落とした。
その鬼気迫る展開と緊張を、客観性、現実感を維持させることで、更に厚みをかける手法は、著者の面目躍如といったところだが、いやいや、ホントに凄い。半端ない…

・・・・・

山野井氏に関する文献を探し、読み漁った。
ギャチュン・カン後に挑んだグリーンランドの大岩壁のドキュメンタリー映像もDVDで見た。

山野井氏の生い立ちから多くの難峰の登攀歴、妙子さんとの出会いと結婚、アルパイン・スタイルでソロで登るこだわり(酸素ボンベがころがり、ロープもあちらこちらに吊り下がっているようなエベレストには興味がない)、ギャチュン・カンで二人が遭難と判断されてから、生還までの親御さんの心境、そして現在でも登り続ける二人の姿まで、多角的に見つめてみた。
それでも何故そこまでして登るのか。何故そんなにも困難が好きなのか、理解できない。

・・・・・

f0173964_19352175.jpg本人が書き下ろした「垂直の記憶」は、ギャチュン・カン生還後、自らのクライミング人生を振り返った登攀体験記。
そこで印象に残った語録を以下に。

「夢がなければ生きていられないし、都会で生活していると落ち着かず、すぐにでも雪と岩と氷の世界へ戻りたくなってしまう。
一般の人から見ると、狂っているかもしれないが、これが僕の人生なのだ。」
「生物を拒絶する岩と雪と氷の世界---。
僕はそこに帰らなくては生きていけない。厳しい環境が眠っている僕を生き返らせてくれるのだ。」
「僕にとっては、空気や水のように重要で、サメが泳いでいなければ生命を維持できないように、登っていなければ生きていけないのである。」


本人の文章もクライミングに人生を費やしていたとは思えないほど上手い。
作家の沢木氏に「アクションよりもリアクションを書くといい」とアドバイスを受けたようだ。

・・・・・

ギャチュン・カン後、山野井夫妻がどこへ向かうのか…8,000メートル峰を登攀するための体はもう無い。指を失ったことは致命傷だ。
そんなときの山野井氏の母のコメントがこれ。さすがは山野井氏の母親だ。

「二人がこれからまた山を続けていくとすれば心配ですが、でもそれは二人が決めることです。
それよりも、二人が目標を失ってしまうのが心配です。」
(「不屈者」より)

そんな母の心配も、結果的には杞憂に終わるのだが。
今もどこかの岩と雪と氷の世界で生きているのだから。

・・・・・

妻の妙子さんの登攀人生も壮絶だ。
彼女もまた日本を代表するクライマー。山野井氏が唯一一緒に登りたいと思った女性だ。
口数の少ない素朴な感じの女性だが、どんな状況下でも取り乱すことのない、肝が据わった人だ。
家事は何でもこなし、ご飯はかまどで炊き、おかずは庭の畑や近くの山で摘んだ芋や大根や山菜が並ぶ。
しかしその登攀人生は平坦ではない。
1991年ネパール・ヒマラヤの高峰マカルーで、帰路でのビバーク中、男性パートナーを失った。
ロープで宙づり、凍結、落下…そして彼女自身も鼻先と左足薬指を除く手足19本を凍傷で失った。そんな彼女が言っていた。

「(指は)多少不自由ですが、どうということはありません。常日頃はわすれてます。亡くなったパートナーのことは決して忘れませんが…」(「不屈者」より)
「山にはお金を掛けるけれど、他のことはどうでもいい。」(「白夜の大岩壁に挑む~クライマー山野井夫妻~」 より)

・・・・・

もしかしたら二人は稀代の幸せ者かもしれない。山野井氏はクライミングは遊びだと言っている。
「真面目に遊んでいるだけ。ただこの程度の遊びに何十年も命をかけている。」(「白夜の大岩壁に挑む~クライマー山野井夫妻~」 より)
こんな幸せなことはない。
人生を掛ける遊びを、見つけることさえできない人が殆どだ。
だから逆に山野井氏を応援したくなるのかな。決して自分では成し遂げられないとわかってるから。
せめて彼には…と。

学生の頃、沢木耕太郎著「深夜特急」に感銘を受け、香港へ一人旅をしたことがある。
今回も同じように熱くなるものがあったが、決して自分で登山してみようとは思わなかった。
私は「雪と岩と氷の世界」はどちらかといえば嫌いだ。
だからきっと永遠に彼の登りたいという純粋な気持ちと高いモチベーションは理解できないだろう。
だが、そんな山野井氏の誕生日は私と一日違いだ。何の関係もないが(笑)。

・・・・・

昨年、クマに襲われ、重傷を負った本人のコメント。(山野井通信より)
「残念なのは2ヶ月後にオーストラリアクライミングを考えていたのに最も大切な腕を痛めてしまった事です。
それでも・・・生きている熊に触れられるなんて・・・感動、言葉が適切ではないと思いますが、貴重な体験をしたような気がします。
野生動物を嫌いにもなっていません、また山のへの興味も失っていません。
僕は回復したら岩に登り、山に登りそして自然を満喫することでしょう。」

腕を20針、顔を70針縫った人のコメントです。
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# by l-jones | 2009-02-08 16:30 | book