願い

山下達郎 LIVE  ”TATSURO YAMASHITA Performance 2008-2009”

f0173964_23351024.jpgメンバー
山下達郎 (ヴォーカル、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
小笠原拓海 (ドラム)
土岐英史 (サックス)
国分友里恵 (コーラス)
佐々木久美 (コーラス)
三谷泰弘 (コーラス)

まったくぶれない。

山下達郎は何も変わっていない。継続しただけだ。アナログからデジタルへ、質より量へ、より便利で身近なものが主流となった音楽の世界。それでも山下達郎は不変だ。
英語圏のロックやリズム&ブルースを根底とし、独自のポップミュージックを創造する。デビュー当初はロックンロールを日本語で?と疑問視され、自分の音楽が一般受けされるのかは、全くわからない。そんな時代も長かった。
それでも山下達郎は30年以上、全く軸がぶれていないのだ…

1980年に達郎氏の名を一躍有名にした珠玉の名曲”RIDE ON TIME”。それが2003年にキムタク主演のドラマの主題歌に起用された。当時そのドラマでこの曲を知った友人が、カラオケで熱唱していた。
その彼に「これって20年以上前の曲なんだよね。」と言うと、
「そうなの!?知らなかった!」と、目を丸くし驚いていたっけ。
友人にとって山下達郎といえば”クリスマス・イブ”。若い世代で、達郎氏に興味がなければ”RIDE ON TIME”を知る由もない。
しかし驚くのは、その事実を知っても信じられないほど曲が新鮮であることだった。

f0173964_018298.jpg 2008年12月5日 金曜日 @厚木市文化会館

6年ぶりの全国ツアー。運良く初日の厚木に参戦。
1400人キャパの2階席最前列といったナイスボジションで鑑賞。
やっぱりいいな~。達郎氏の55歳とは思えぬ強靭な歌力と、リズムセクションの一糸乱れぬソリッドな音。素晴らしい。やはり他の追随を許さない、日本最強だ。
hmv.co.jpが独断と偏見で選ぶの"日本のシンガーTOP30”で堂々の1位を獲得するのもうなずける。

たとえ初日でも、歌や演奏は完璧。だが、MCだけはあんちょこを何度も見て確認(歌詞は今でもプロンプター等を使っていないが)。その仕種が実に微笑ましく、初日に来れた喜びをかみしめる瞬間だった。

途中達郎氏から小さなお願いがあり。ツアー終了まではこうしたブログ等でセットリストを公開しないでほしいとのこと。なので具体的な曲に関してのコメントは避けます。そんなこと本当に小さなお願いだ。だってそれでも本人は、公演終了後にロビーにセットリストを貼り出すサービスをやめていないのだから。

達郎氏は6年前がリハビリツアーだったが、今回は一から出直しツアーと銘打っていた。
「ここ数年、自分の音楽を取り巻く環境が激変し、七転八倒した。やっと最近、音楽的にも壁を乗り越え、人的にも恵まれ、軌道に乗ってきた。そんな中舞い込んだのが伝統ある大阪フェスティバルホール取り壊しのニュース。それならば、最後にもう一度大阪フェスで歌いたい。これが今回の6年ぶり、しかも新譜が無いツアーのきっかけです。」(大意)

達郎氏はライブ会場にも強いこだわりを持っていて、自分の納得した音が出せるホールしか選ばない。だから達郎氏にとっては武道館やドームでのライブは言語道断なのだ。逆に良いホールには強い愛着を持っていて、今回の大阪フェスの取り壊しには断固反対を訴えていた。ホールはその舞台を踏んだミュージシャンや芸人達の生き血を吸っている。ホールを取り巻く環境(同グループの隣接するホテル、商業施設やゼネコン絡み)の為に取り壊すのは許せないと。大阪フェス以外でも、中野サンプラザや北海道厚生年金会館なども多々問題を抱えているらしい。
とにかく個人的には達郎氏のライブ会場を減らすのは止めてもらいたい。大きなお願いだ。

3時間。前回のツアーより若干短い気もしたが、それでも3時間ぶっ続けだ。大満足。

何度見ても飽きない。何度聴いても飽きない。達郎氏はライブ映像をパッケージ化しない。ラストのあの曲をアカペラで聞けるのはライブだけなんだ。極上のライブ・パフォーマンス。
フィナーレで、一人ゆっくりと会場全体を見渡し、手を合わせ感謝の意を表す達郎氏を見ていると、必ずまた会いたいと思ってしまうのだ。


f0173964_018475.jpg2009年 3月1日 日曜日 @NHKホール

「あれ?なんか違う。声出てないな…」
1曲目で感じた。6回目の山下達郎ライブでの初の出来事。NHKホール2階末席だからか?いや、違う。
「エヘン虫がでてきた」と達郎氏本人も調子が悪いことを告白した。
しかしさすがはベテラン職人、徐々に調子を取り戻し、いつも通りの透き通るようなテナー~ファルセットを聞かせてくれた。

その後は達郎氏もリズムセクションもコーラス隊も素晴らしいパフォーマンスを披露。MC含め台本通りの流れで進んでいく。何かうまく纏まり過ぎ?と、感じた矢先…
「ちくしょーちくしょー、30本目で初めて間違えた!」と、曲を中断。
お約束の一人アカペラコーナーの最初の曲でのハプニング!歌詞を間違えたらしい。まったく気が付かなかったが、本人は納得いかなかったらしく、中断。お詫びに朝青龍のものまねを披露!(笑)
いやーいいもの見せていただきました。

今回のツアーからメンバーに加わった二人(ドラムの若干24歳!の小笠原氏、セカンド・キーボードの柴田氏)含め、バック・ミュージシャンも相変わらずいかしてる。特に小笠原氏は初日より更に上手くなったんじゃねーか、と思わせるほど冴えていた。やっぱり若いっていいね。達郎氏からお墨付きを頂戴したドラマー。これからも音楽に対し真摯な姿勢で成長してくださいな。余計なお願いです。

間奏部分など、若干の変化はあったが、基本的なセットは初日と変わりなく進行。
そしてアンコール。再度ステージに上がった達郎氏は、逆サイドから退場・入場していた難波氏(キーボード)と三谷氏(コーラス)に何か耳打ちした。
そこで思った。
「これ、最初の曲をもう一回やるぞ」と…

予定通りのアンコールが終了したとき、「おまけ」と一言、3時間前に聞いた達郎氏のギターフレーズが...
やっぱり!エヘン虫に邪魔されて納得できなかった最初の曲をもう一度歌ったのだ!
納得しない曲はやり直すと噂では聞いたことがあったが、まさか目の当たりに出来るなんて…
そう、きっとさっきの耳打ちは、難波氏達にあの曲を最後もう一回やってと、伝えていたのだろう。
その一言で完璧に演じるリズム隊にも脱帽だ。逆にコーラスの佐々木さんなんてもうノリノリだ。
そしてなんと!さらにもう1曲おまけで、予定外の曲を自身のギター1本で。しかも僕の大好きなあの曲…
嗚呼、僕の座席がソファーだったら間違いなくむせび泣いていたでしょう(笑)。

厚木の時が55歳。今回は56歳。3時間半ぶっ通し。どうだ、この人が竹内まりやさんが惚れた男だ。
最後に達郎氏はこう締めくくりました。
「未曽有の不況の今日、お客さんの中でもなにかしらの事情をお持ちの方もいるでしょう。ただピンチは大きなチャンスに変えられます。
音楽で世の中を変えられると思ったことは一度もありません。ただ、音楽で人の心を慰め、癒し、励ますことは出来るのでは、と思っています。そんな気分の時はまたライブにいらしてください。」(大意)

大好きな黒人アーティストのライブをコットンクラブの最前席で見るよりも、山下達郎のライブは慰められるし、励まされる。
毎年僕の心を癒してください。切実なお願いです。
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by l-jones | 2009-03-09 00:58 | live report
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