山下達郎('10/SINGLE CD)
「希望という名の光」 1.希望という名の光 2.Happy Gathering Day 3.希望という名の光(オリジナル・カラオケ) 4.Happy Gathering Day(オリジナル・カラオケ) 久々に達郎ドファンクが聴きたくて期待して待っているファンとしては、今回もまたバラードとミディアムか… そんな印象を持ったのでは。 感動映画の主題歌とケンタッキーフライドチキンのWタイアップで、メーカーでは「希望という名の光」を「ずっと一緒さ」「僕らの夏の夢」に続くバラード三部作完結編と銘打っているくらいだからそれも止む無しか。 ただ一作品としての完成度は言わずもがな、特に「希望と~」はタイアップ映画の出来までも期待させる魅力を秘める、素敵な楽曲に仕上がっている。 映画を見てその主題歌に興味を持つケースは多いが、今回は逆だ。 映画を観たいと思い、ついついネットで予告編などの映像を探してしまった。 タイアップ曲はタイアップあって成立する作品が殆どだ。 だが今作は楽曲が独り立ち出来、曲そのものに価値がある。タイアップは付加価値として位置付けられる。まさに達郎氏の面目躍如。 「希望と~」に出てくる「A Ray Of Hope」のフレーズは、達郎氏のプライベート・アンセムであるTHE RASCALSの「A Ray Of Hope」から拝借したものだろう。 聴き込むほどに幻想的な空間に包まれ、ゴスペル的質感も無意識に感じさせる。 気に入りました。 でも次はファンク待ってます。 #
by l-jones
| 2010-04-18 00:38
| soul review
SMOKEY ROBINSON
Intimate('99/CD) スモーキーの8年ぶりのオリジナルアルバム。"ミラクル"カムバック。 90年代、オージェイズやアイズレーズらベテラン勢が、若手アーティストの力を借りて現シーンに近づいた動きを見せる中、スモーキーがコラボレートしたのは、マイケル・ストークス、マイケル・ラブスミス、そしてべりー・ゴーディー。60、70、80年代と、なにも変わらぬまま戻ってきた。曲に斬新さは皆無。なのにこんなにオリジナリティーを感じることが出来るアーティストには滅多に出会えない。 アルバムの大半を占めるスローでは、変わらぬスモーキーの繊細で温もり溢れるファルセットを存分に堪能できる。数曲あるミディアムだってスモーキーの魅力がたっぷり詰まった素晴らしい出来。 そして緻密で丁寧な仕上がりにはマイケル・ストークスやマイケル・ラブスミスのスモーキーへの想いも感じ取れるだろう。 中でもグループ仕立てで語りも入れた、まさにスミス・コネクションばりの狂おしいスウィートさを味わえる(6)"Just Let Me Love You"はぼくの最高のお気に入りだ。 #
by l-jones
| 2010-03-06 11:15
| soul review
THE TRUE REFLECTION
「Where I'm coming from」('73/LP) このアルバムのB面は超強力だ。B(1)"It Really Hurts"B(2)"Helpless Man"と続く2曲のバラード。洗練されたメローな曲調の中に光る、どす黒いスウィートネス、ソウル・ミュージックの醍醐味がそこにはある。そして正統派フィリー・ダンサーのタイトル曲B(3)。やはりこの曲にしてもブルーノーツやトランプスとはひと味もふた味も違う黒さや粘り気がある。強いて言えばオージェイズ似か。 A面は多少弱い印象があるが、B面の密度の濃さはそれを補って余りある。 73年にこの傑作アルバムが生まれたのには要因がある。プロデュースにモジュレーションズのメンバーがあたり、グループのメンバーもテンプスに参加する者、パースウェイダース/ミラージュと渡り歩く実力者がいたりする。そしてこれが彼ら4人の唯一のアルバアム。悪いわけがない。 #
by l-jones
| 2010-02-27 14:00
| soul review
LUTHER INGRAM
「Let's Steal Away」('76/LP) ルーサー・イングラムの3枚目のアルバム。 ルーサーと言えば色気漂う不倫ソングで有名だが、ルーサーの丁寧で堂々たる歌いっぷりは、素朴・誠実・実直といったストレートな表現が良く似合う。 ミディアムからスローまで駄作なし。どこを切ってもルーサー節。お気に入りの1枚だ。 BEST TRACKはやはりお得意の不倫ソングを、切々と歌いあげるバラードのA(1)タイトル曲か。その他のスロー、A(2)"That's The Way Love Is"やB(4)”Your Love Is Something Special”、トミー・テイト絡みのB(1)”All That Shines”、B(2)”What Goes Around Comes Around”なども曲の良さも相まってついつい引き込まれる。このサザン風味たっぷりの味わい深さはルーサーならではだ。 少しテンポを上げたA(3)"Sweet Inspiration"でもルーサー節は健在。マスル・ショールズでの熱気がレコードからこぼれおちそうだ。 #
by l-jones
| 2010-02-27 13:06
| soul review
また話は逸れるが、
そもそもぼくはCDをほとんど聴かない。 今さらCDが嫌いと言うのではなくて、音楽を聴く媒体として、いまだにアナログレコードが最高だと思っているからだ。 CDはレコードのようにA面もB面もないし、もちろん針を落とす手間もない。ボタンひとつで最後の曲まで聴き通すことも、好きな曲の選曲も楽々。ランダム再生だって思いのままだ。 レコードと比較して便利極まりない。 しかしCDだと1時間近い収録時間のアルバムを、最後まで集中して聴くことが出来ないのです。 せっかくのアルバムなんだから、2、3曲くらいは印象に残したいと思うのだが、殆ど1曲目しか印象に残らない。2曲目以降はなんとなく惰性で流れてしまう… しかも10曲位収録されているアルバムでは、その曲がその場所(何曲目)にあることにも製作側は意味を持たせているはずなのだが、選曲ボタンやランダム再生といった便利機能付きのCDプレイヤーを駆使する聴き手には、そんなことはほぼ伝わらない。 その点レコードには、不便な反面、アーティストとリスナーを結ぶ仕掛けがたくさん施されている。 まず、周知の通り30センチの円盤であるアナログレコードは、針が外側から中心に向かって溝を刻む。 よってそのスピードは外側が速く、中心に進むにつれて遅くなる。 その結果、外側、つまり1曲目が録音・再生の状態が最も良く、中心部に近づくほど帯域が狭くなり音が劣化するという特性を生む。 その為制作側は、リスナーに一番聴かせたい曲、伝えたい音を、A面かB面1曲目に配置し、逆に音が劣化する両面ラストの曲は帯域が見立たないスロー/バラード系を割り当てるのを常套の手法としていた。 またレコード収録時間は片面17分程度が最良とされ、それ以上時間が長くなるにつれ、音質が劣化すると言われている。 リスナーが期待を胸にA面1曲目に針を落とす。そこに流れて来るのは、アーティストが一番根性をこめて作った曲。録音状態も最上だ。その曲が素晴らしければ素晴らしいほど、A面を聴き通す集中力へと繋がり、同時にB面への期待が高まる20分間ともなる。そしてまた円盤を引っくり返し、感動のB面1曲目に出会うわけだ。 片面20分位の収録時間も、通して聴くには丁度良い。 レコードには1曲目が2度、ラストも2度訪れる。そしてこれらがまたいい曲が多いのよ… 確かにレコードは物理的にも大きく重く、そして収納にも困る。針を落としたり、盤を拭いたりと手間も掛かる。 しかしこうした特性や制限があるおかげで、レコード盤自体への愛着が深まったり、制作側の“気”がリスナーまで届きやすいのではないか… 針を落とすたびに胸が締め付けられる…、むずっとするけど、こんな表現はレコードならではだ。 ←2009年6月12日付 日本経済新聞 文化覧「レコードよ 永遠に回れ」 ~レコードのカッティング技師として40年、熟練の技で音色奏でる~ 時代は変わる そもそもCDが無くなるのは、配信に取って変わられるかもしれからとのことだったが、もしかするとレコードからCDへ移り変わった時点で、既に音楽の価値は失われていたのかもしれない… 時代は進み、アナログからデジタルへ。ゲーム、ネット、携帯電話など娯楽の多様化をはじめ、急速に進化した情報化社会。伴う貨幣価値の変遷。そして利便性の功罪… ボブ・ディランもうたってる、「父、母よ、子供のすることがわからないなら、そのまま黙っていてくれ。古いやり方はなくなりつつある、今はのちに過去となる。時代は変わりつつあるんだから」と… CDが無くなるのも時代の潮流なんでしょう。 でも、 パッケージCDの売上に反して、コンサート、ライブの興行収入は右肩上がりらしい。CDと違い、そこでの味わいは復元不可、一期一会なのです。そこにはお金を払う価値がある。 簡単にダウンロード、ネット検索して通販で手に入れた音楽に思い入れはない。欲しくて探して手にとって、針を落としソファーにむせび泣く… どんなに時代が変わっても、想いを込めて聴いた音楽は永遠に生き続けるでしょう。 以上、勝手なことばかり述べて支離滅裂な話になりましたが、CDでもレコードでも配信でも何でもいいんです、人を癒したり励ましたりできる音楽が存在すれば。 また今後、21世紀のマイケルやビートルズが誕生することも願って。 LOVE, PEASE & SOUL!! ◎・・・・・うちのレコードは永遠に回ります・・・・・・・◎ #
by l-jones
| 2010-02-20 21:35
| book
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